
結論からお伝えします。2026年2月、私たちは「OpenClawはWindowsを公式サポートしていないのでWSL2を使う必要があります」という前提でインストールガイドを書きました。ところが、その前提は今ではもう正しくありません。ただし、正確に押さえておくべき点があります ― ネイティブアプリが登場したからといって、WSL2という技術そのものが消えたわけではありません。消えたのはユーザーが手作業で一つずつこなしていた8ステップのインストール儀式であり、その下にある技術は今も変わらず使われています。この記事はその違いを正確に押さえながら、現時点で実際に使える3つのインストール方法を整理したガイドです。
🦞 OpenClawとは、そしてこの記事を書き直す理由
OpenClawはローカルで動作するオープンソースのAIエージェントゲートウェイです。Discord、Telegram、WhatsAppといったメッセンジャーにAIを接続し、チャットで自然に会話しながら作業を任せられます。Peter Steinbergerが作り、現在は彼がOpenAI内の「Claw Labs」を率いて技術的な最終決定権を持ち続ける一方、2026年7月8日に正式発足したOpenClaw Foundation(501(c)(3)非営利財団)がプロジェクトを運営しています。この財団の発足は、私たちがこの記事を書いている時点から12日前の出来事です。
既存の記事は「OpenClawはWindowsを公式サポートしていない」という前提で、WSL2経路だけを扱っていました。今ではこの前提自体が古くなっています。以下で、現在実際に存在する3つのインストール経路を整理します。
どの経路が合っているかは目的によって変わります。とにかく早く始めてチャットでAIエージェントを使いたい方には、Windows Hubが最短の道です。逆に、サーバーに常時デプロイしたりCIパイプラインに組み込んだりと、GUIなしでスクリプトから制御したい方にはネイティブCLIの方が向いています。Linux環境のツールエコシステム(特定のLinux専用MCPサーバー、シェルスクリプトなど)にすでに慣れている、あるいはそのまま再利用したい方には、WSL2経路が今も有効な選択肢です。
🪟 今はインストール方法が3つあります
| 方法 | 状態 | 一言で言うと |
|---|---|---|
| Windows Hub | 公式推奨 | ネイティブWinUIアプリ、管理者権限不要、トレイ・初回セットアップウィザード・チャット画面を含む |
| ネイティブCLI + Gateway | 有効な代替手段 | PowerShellインストールスクリプト、真のネイティブ、WSL2不要 |
| WSL2 Gateway | 今も動作、旧来の方式 | 手動インストール、「Linux互換性が最も高いランタイム」というのが公式ドキュメントの表現 |
なお、この3つは「Windowsデスクトップで何を選ぶか」についての区分です。/install公式ドキュメントには、npm・pnpm・bun・curlインストールスクリプト・Docker・Podman・Nix・Ansibleといったパッケージマネージャー単位のインストール方法も別途列挙されていますが、これは上記3つそれぞれの「内側」で選ぶ細かい方式なので別の話です。

✅ Windows Hubでインストールする(推奨経路)
github.com/openclaw/openclaw-windows-node/releases/latestから署名済みのx64/ARM64インストーラーを入手します。Windows 10 20H2以降またはWindows 11が必要で、管理者権限なしでインストールできます。インストール後は、トレイのステータス表示、初回起動ウィザード、ネイティブチャット画面、Command Center診断ツール、ノードモード、ローカルMCPサーバーモードまで含まれます。
💡 正確に押さえておきたい点: Windows Hubのデフォルトの「ローカルにセットアップ」フローは、内部的には今もアプリ専用のWSL2ディストリビューション(OpenClawGateway)を自動的に作成します。つまりWSL2という技術自体がなくなったのではなく、以前ユーザーが手作業で行っていたWSL2インストール・Nodeインストール・npmインストールの過程を、Hubが代わりに自動化してくれるようになったということです。
MXCサンドボックス化についても正確にお伝えします。Microsoft Build 2026の基調講演でセキュリティ機能として紹介されたMXC(Microsoft Execution Containers)は、Hubやネイティブ CLIにデフォルトで含まれているわけではありません。@openclaw/mxc-sandboxという別途のオプションプラグインとしてインストールする必要があり、この機能が依拠するWindows OS自体のコンテナ機能も、この記事の執筆時点ではまだ正式リリースではない可能性があります(公開プレビュー段階だという報道があり、正式リリースは2026年10月頃と言及されています ― 確認時点の情報であり、Windowsアップデートのスケジュールによって変わる可能性があります)。「Hubをインストールすれば自動的にサンドボックス化される」という印象を与えたくないため、別途明記します。
🐧 WSL2で直接インストールする(既存の方法、訂正反映)
手動で直接セットアップしたい方、またはLinux互換性を最優先したい方のために、既存記事の手順を改めて検証し、変わった部分を訂正した上で残しておきます。
- WSL2のインストール。
wsl --installは今も有効ですが、現在は/etc/wsl.confでsystemdを明示的に有効化するステップが追加で必要です。サンプルのディストリビューションもUbuntu-24.04基準に変わりました。 - Node.jsのインストール。 以前は「Node 22」とだけ案内していましたが、現在は
22.22.3+/24.15+/25.9+のいずれかが必要で、Node 24が推奨されています。nvmでインストールする方式はそのままです。 - OpenClawのインストール。
npm install -g openclaw@latest― 変更なくそのまま有効です。 - デーモン登録。
openclaw onboard --install-daemon― これも変更なくそのまま有効です。 - Discordボットの作成。 ここから先で変わった点が多くあります ― すぐ下の節で別途扱います。
- 設定ファイルの作成。 以前は
apiKeyフィールドに平文のキー文字列を直接入れていましたが、現在は{source, provider, id}形式のSecretRefオブジェクトで参照する方式が基本です。 - ゲートウェイの確認。
openclaw gateway status/restart/doctorは今もそのまま使われており(doctorはむしろ診断項目が増えています)、以前使われていたgateway logs --followは最上位のopenclaw logsコマンドに移行したように見えます。ただしこの点は変更ログで明確に確認できていないため断定はしません ― バージョンによって両方とも動作する可能性があるので、古いコマンドが効かない場合は新しいコマンドをお試しください。 - ワークスペースファイル。 以前案内していたSOUL.md/IDENTITY.md/USER.md/AGENTS.mdの4つは今もコアです。ただし現在の公式ドキュメントは、TOOLS.md、HEARTBEAT.md、BOOT.md、BOOTSTRAP.md、MEMORY.md、memory/、skills/、canvas/まで含めた、より広いブートストラップファイルの一覧を案内しています。全部覚える必要はなく、必要なときに公式ドキュメントで確認すれば十分です。
🔌 Discord連携 ― 変わった点
openclaw pairing approve discord <コード>コマンドでペアリングを承認するステップが必須です(コードは1時間後に失効します)。既存記事にはこのステップが一切ありませんでした ― 以前のガイドをそのまま実行すると、ボットを招待しても何も反応がなく、原因がわからない状況に陥ります。
その他にも、Server Members Intentの有効化が推奨され、OAuth2スコープもbotとapplications.commandsの両方が必要です(以前は片方だけで十分だった可能性があります)。権限範囲も広がり、開発者モードを有効にしてサーバー・チャンネルIDを収集する手順、そしてペアリングのためのDMプライバシートグル設定も必要になりました。
💡 知っておくと良いこと
ゲートウェイポート ― 18789は、この記事の執筆時点で変更されていません。
ClawHubスキルインストール時のセキュリティ ― 以前の記事はやや警告寄りの案内にとどまっていましたが、現在はVirusTotal・ClawScan・NVIDIA Skill Cards・SkillSpectorといった実際のスキャンインフラが整っています。無条件に警戒するというより、インストール前にスキャン結果のサマリーを確認することをおすすめします。
🧭 まとめ
まとめるとこうなります。WindowsでOpenClawを使う方法は今や3つあり、ほとんどの方にとってはWindows Hubが最もシンプルな出発点です。ただし、Hubも内部的にはWSL2を自動的に準備してくれているという点は知っておくとよいでしょう ― 技術がなくなったのではなく、手間が減っただけです。直接WSL2経路でインストールする場合は、上で訂正した手順をそのまま進めていただければ大丈夫です。そして、Discord連携でペアリング承認のステップを見落とさないことが最も重要です。